症例名:症例6 (難治症例の検討)脊髄損傷例-1

日付:2016年10月14日

 

1997.01.よりの脊髄損傷症例 2001.07.発症の外傷性仙骨部の褥瘡(創)が継続

 

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1997.01. 

木から転落して。脊髄損傷。

 

 

1998.10. 

顔や頭部の掻痒。水疱潰瘍が続く。

 

1999.12.~2000.02. まで、右踵部に潰瘍。、、、、、、創傷の難治。

 

2001.07.

尾骨、仙骨部の皮膚ズルズルに剥ける。

 

2001.08.

褥瘡として処置するも、車椅子移乗で、常に損傷する。難治の褥瘡として、整形外科に紹介。

 

2001.08.~2001.12.

整形外科へ入院して、何とか治癒。

 

 

その後、車椅子や自動車への移乗に際し、常に損傷して、創面は軽快憎悪を繰り返し、

軟膏療法をするも治癒せず。

六年余にわたって、同様の状態が続く。

 

 

2007.04.02. 

外来受診す。

Hb:14.6 Tp:6.6 Alb:4.0 Zn:57 Al-p:277 GOT:35 GPT:56 Cre:0.53

プロマック投与開始。

 

 

2008.03.03.

殆ど良い。可成り無理をすると少し傷が付くが、以前とは全く違う。

Hb:17.2 Tp:7.5 Alb:4.5 Zn:101 Al-p:338 GOT:51 GPT:83 Cre:0.50

 

 

 

脊髄損傷に伴う褥瘡は知覚の消失その他の要因から難治の傾向にあり、しばしば形成外科的な治療の対象になっている。

本症例は、振り返って考察すると、亜鉛欠乏によると考えられる皮膚疾患等発症し、

脊髄損傷四年半余より尾骨仙骨部に車椅子や自動車に移乗時のずれによる外傷から臀部広範囲に褥瘡様となり、

訪問看護や軟膏療法の医療的処置を常時されていたが、六年余にわたり、擦過創、裂創、潰瘍が

常時存在していた症例である。

この六年間の医療処置と異なる治療は、プロマック150mgの処方だけである。

亜鉛欠乏により、表皮のみならず皮下組織も含めて、皮膚全体が脆弱になっていたものと考えられる。

知覚が消失しているために、脆弱な皮膚に常に外力による損傷を受けて慢性化したものと考えられ、

脊髄損傷に特徴的な褥瘡であるが、亜鉛補充療法により、皮膚の脆弱さが改善されたものと考えている。

 

 

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