返信先: 【論理的亜鉛補充療法の実践欄(症例を中心に)】

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#11098
いわゆる舌痛症は亜鉛欠乏症 倉澤 隆平

 日頃に常用薬の服用が無く発症の症例や特別に、亜鉛不足の原因となるものが見当たらない、いわゆる舌痛症(局所粘膜に肉眼的異常所見の無い)の大部分は亜鉛欠乏症であり、亜鉛補充療法で、容易に治癒すると述べて来ました。また、亜鉛不足を容易に発症し易い薬剤の常用症例でも、総てが難治ではなく、亜鉛補充療法で容易にその症状が軽快・治癒するものも多くある。常用薬剤による亜鉛不足の発症・難治化について別に述べます。
【常用薬剤有の舌痛症症例の軽快・治癒】について、提示する

【TFさん 85歳】【初診:2022.08.10】
【既往歴】高血圧、高脂血症
【主訴・現病歴】舌痛 約1年前ごろより、月に1回(時に、2~3回)2~3日続く。口腔内のヒリヒリした痛み。右頬部内側から歯肉にかけて、径5cm程の範囲。口腔内の痛みは、就寝時なし、食事可能、何かに意識集中時、痛みを感じないなどいわゆる舌痛症的。その他食欲良、倦怠感や皮膚科症状なし。
【薬剤・医療関係】約10年前ごろより、ビブラスタチン、アムロジン服用。

【コメント】口腔内痛が時々であること、舌でなく頬部から歯肉にかけての痛みである。食欲、皮膚症状など、その他の亜鉛欠乏症症状はないが、痛みの性状、パターン、常用服用薬が典型的な亜鉛欠乏症の易発症薬である。亜鉛欠乏症の可能性大として、採血検査をする。
【治療経過】
2022/08/10 初診で一般血算・血液検査と血清亜鉛値検査。口腔内に肉眼的異常所見なし。  
08/24 2W後受診。初診時の一般検査は基準値内。Zn:79 Al-P:69。症状は亜鉛欠乏症の疑い強く、Zn:79と比較的高いが、亜鉛欠乏症として、プロマックによる標準の亜鉛補充療法を開始する。
09/21 補充療法開始し、特別の問題なく、これまでの口内痛ないと言う。たまにの発症であるので、採血、療法継続とする。亜鉛不足の場合では、急上昇の筈であると話をする。Zn:100(73)と上昇した。
 10/26 2W前少し痛み短時間あった、それ以外問題なし。右肩部の掻痒+ Zn:135(73)
11/21 その後、口腔内痛は発症せず。その他に特別の変化なし、採血で Zn:135(80)
2023/01/25 大雪で受診不可であったが、その後、舌痛の発症なし。

【コメント】舌痛症としてはやや典型的ではないが、症状の経過、血清亜鉛値の動きで、いわゆる舌痛症で良い。血清亜鉛値のやや高い傾向は、固有のものか?又は、薬剤性のためか?っ血清亜鉛値の変動から、比較的はやく補充が完了したものかもしれない。臨床的には、もう暫く追跡をして、本来の個の血清亜鉛値がどの程度か確認するのが良い。
【血清亜鉛値の変動】Zn:79(69)08/10=>100(73)09/21=>135(73)10/26=>135(80)11/21=>??