【亜鉛とキレート作用や化学反応を生じやすい多くの薬剤がある】
【亜鉛製剤との併用・処方に注意すべき多くの薬剤がある】
幸いなことに、今回提示した【K.Kさん】【T.Fさん】【K.Eさん】【T.Kさん】の4名のいわゆる(局所所見の無い)舌痛症例は、一応、初診時の舌痛+αの欠乏症状は治癒、または再発があろうとも、今後の亜鉛欠乏の医療、如何にするかの目鼻が着いた症例と言える。
勿論、これまでの舌痛症症例中に、種々の理由により治療を完結出来ない症例もあるが、少数の特殊な例外はあろうとも、【舌痛症は亜鉛欠乏症である】と言ってよく、欠乏症であるから、安全・安価で、且つ容易な亜鉛補充療法で、大部分の舌痛症は治癒せしめ得る。いわゆる舌痛症を真菌症や心療内科的なもの、精神的なもの等、【気の問題】と片づける前に、血清亜鉛濃度の変動・推移を追跡するキチッとした亜鉛補充療法をすべきである。
ただ、一部の難治化するいわゆる舌痛症の発症・難治の主要な原因は常用・連用薬剤、特に、多剤処方例にあると言ってよいと考えるが、亜鉛のキレート作用や化学反応による亜鉛欠乏症発症の可能性のある薬剤(化学物質)は多くの医師や薬剤師、薬学者等々や社会が考えているよりも遥かに多く、現実に、亜鉛欠乏症の診療に大きな影響があることに、筆者(倉澤)は驚いている。
本掲示板を通して、徐々に明かにして行こうと考え、ここに、その資料を提示して置く。
【旧掲示板(TeaCup)のPDFファイル】の<投稿日: 2022年 4月 2日(土)>
亜鉛欠乏症を起こす可能性のある薬剤(その 2) ~舌痛症に関連して~
亜鉛欠乏症を起こす可能性のある薬剤(その 1) ~舌痛症に関連して~
をPDFファイルをダウンロードして、上記の年月日の所を参照していただきたい。
この資料は、『味覚障害の全貌』冨田 寛 日本大学名誉教授 著 診断と治療社
<味覚障害の原因別分類 C,薬剤性味覚障害 表4 味覚障害を起こす薬剤>
P316-345 から抜粋の、表4 味覚障害を起こす薬剤 に一部手を加えたものである。
(日本において、長期間に渡り味覚障害を主に、亜鉛欠乏症の臨床と研究をされて来られた冨田先生が味覚障害の臨床の現場で経験したり、文献と合わせて確認したものの一部である。味覚障害を起こす可能性が、総て、亜鉛と関連しているとは言えないが、大部分が亜鉛キレート能が確認されたり、自験例に基ずくものであることは重い事実である。)
ただしかし、亜鉛とのキレート作用や化学反応等により味覚障害を起こす薬剤と言っても、ヒトの生体内の反応で、極稀なものから、可なりの頻度がありそうな薬剤まであり、まだまだ、全く判っていないと言ってよく、臨床の現場で事実を集積する段階である。
ただ、臨床の現場では、特に、舌痛症の様に診断・治療の仕方を探っている場合には、その薬剤と亜鉛との関係を常に頭において、対応する必要がある。