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倉澤 隆平
【亜鉛欠乏症について悩みや相談ごとの欄】【亜鉛欠乏症診療の疑義欄】【論理的亜鉛補充療法の実践欄(症例を中心に)】の三投稿欄を設け、話題を、大まかに、凡そ三つに分類ご投稿いただこうと考えたのですが、イザ投稿する身になって考えて見ると、三分類では、何処に?投稿すべきか?迷うこともありそうで、その他の欄の意味で本欄を設けました。
あまり細かな分類に拘わらずに、気楽にご投稿をお願いしたい。
要は、形式にとらわれるよりも、本当に知りたいこと、疑問に思うこと、皆に知って欲しい気付かれていないこと、新しいことetc,etcの情報を提示し、真剣に議論・検討して、より優れた亜鉛欠乏症の知見が生み出されることが、一番大切なことと考えています。
そこで広告や広告的な投稿、迷惑メールはお断りします。倉澤何故?亜鉛不足が生ずるのか?! 倉澤隆平
【何故?亜鉛不足が生ずるのか?!】2022年10月、医学部同窓会の月刊機関紙の学生編集委員より、”鉄門いまむかし”欄に、私の医師人生について、1500字程度にまとめて投稿するようにとの依頼があった。 丁度、多数で多彩な亜鉛欠乏症の存在に気が付いて20年。元素亜鉛の重要性について、その周知に努力してきたが、肝心要の医師たちに、なかなかその知見が拡がっているとは言えぬ現実から、同門の医師はじめ学者、医学生たちに知ってもらうには、丁度良い機会と考えて、”文明病で書きたかった【亜鉛欠乏症】”の題で投稿し、12月号に掲載された。 1500字で医師の人生どころか、亜鉛欠乏症の何が書けるのか?とウンウン唸りながら書いた割には、亜鉛欠乏症の現在の諸問題の糸口に一応触れて、特に、仮説ではあるが、【何故?亜鉛不足が生ずるのか?】の現時点までに到達した、私の考え方を示している。 この亜鉛欠乏症の掲示板で議論・討論し、理解を深める諸話題の源として、お読みいただければと思う。多くの方のご意見をお寄せいただければ幸いである。
文明病で書きたかった【亜鉛欠乏症】
大学闘争が収拾され、キッと真っ先に大学の壁を出た医局員のひとり。約60年間の、正に、万事塞翁が馬の医師人生であった。幸い、多くの人々に支えられ、『長野県国保の地域医療の種』と『亜鉛欠乏症の臨床の芽』とが残ったとも言え、その一部を紹介する。
2002年秋。フトしたことから、多くの医師が考えているよりも、遥かに多くの多彩な亜鉛欠乏症患者の存在に気付いた。その症状は経験したものだけでも味覚障害、拒食にも至る食欲不振、舌痛症を含む舌・口腔咽頭症状、褥瘡はじめ多くの皮膚疾患・皮膚症状や慢性下痢、貧血、元気度や精神症状等などにも及ぶ、実に多彩なもので、さらに、亜鉛の生体内機能からも、まだまだ、未知の疾病・症状があるものと考えられる。
臨床上の亜鉛欠乏症患者多発の傾向から、(旧)北御牧村の地域住民1,431名の血清亜鉛濃度調査をはじめ長野県下の総計4,000名を超える一般地域住民や県下各地の診療所受診患者の疫学調査をした結果、北御牧村住民は勿論、『長野県民はじめ日本国民は亜鉛不足の傾向にある』ことを証明した。それは、1980年頃制定の(株)SRLの血清亜鉛の基準値やほぼ同時期の米国市民対象のNHANESⅡと比較しても、明らかな低下があり、この間に社会に何が生じたのか?が問題である。
亜鉛欠乏症は欠乏症であるから、安価で安全な亜鉛含有医薬品による亜鉛補充療法で、その多くは容易に治癒し、再発予防が可能である。国民の健康維持に大切で、生命に必須な亜鉛は、また最も毒性の少ないミネラルであるにも関わらず、その微量さ故に、生体内機能の多彩さ多様さ、重要さが医師のいわゆる常識を遥かに超えて、その欠乏症の周知と理解を得ることは困難を極め、現在医師の二割程度しかその知識を持っているとは言えず、常識を覆すことは本当に大変なことであった。一方、近年の分子生物学的手法を駆使した亜鉛トランスポータなどの亜鉛生物学研究の急速な進歩から、たった一亜鉛元素の欠乏で、実に多彩な症状・疾患が発症することが徐々に証明されつつある。勿論、亜鉛欠乏症の臨床はまだまだ判らないことだらけではあるが、例えば日本褥瘡学会のごとく、亜鉛補充による全身療法の褥瘡治癒経過を示す写真や諸データを理解せずに無視を続け、従来の局所療法に固執するなど、肝心の臨床系諸学会は各専門領域内に亜鉛不足の多くの影響が存在することに、まだ気が付いていないのが現実と言える。
1961年、Prasadのヒト亜鉛欠乏症の存在を示唆する論文以来、日本では、『亜鉛欠乏症は味覚障害』として知られ、偏食や孤食など個の特殊な状況によるもので、珍しい疾患とされて来た。しかし、患者多発の状況や血清亜鉛の疫学調査(KITAMIMAKI Study)等から国民に亜鉛不足の傾向があり、個々の特殊な習慣や疾病はあろうとも、近年の国民全体に拘る食の質と量の変化を考えざるを得ない。何故、亜鉛不足が生ずるのか?仮説であるが、化学肥料の施肥に加えて、殺虫剤・除草剤の農業の変化は穀物の生産量増加を齎したが、自然界や土壌の生態系を乱し、微量な亜鉛等の可吸性の変化や含有量減を生じ、さらに、1950年代、米国での食のエネルギー革命とのコーン大量生産と飼料化により、肉類にもミネラル等、質の劣化を生じたものと推測され、加えて、日本では米、味噌の消費量減、食品添加物や加工法の影響も無視できない。また、元もとキレート形成作用の強い亜鉛は薬剤との相互作用が多いものと推測されるが、現実の亜鉛欠乏症発症と難治化に、多くの医師や薬学者が予想だにしなかった多数の薬剤が関与するらしいこと、特に連用の薬剤や多剤服用例が大きな問題のことが判明。単なる医や個の問題ではないことが判ってきた。
2002年以来、学会は勿論、【亜鉛欠乏症のホームページ】や同掲示板などで、21年には【現代日本の国民病 亜鉛欠乏症】の単行本も刊行、その重要性の周知に努力してきた。
出来れば医学・医療を超え「国民病・文明病」で書きたかったが、85歳の現在、まだ資料が不十分で、後人に託すこととし、断念!鉄門会員の一人でも気付けば、幸いと思う。 -
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