【亜鉛欠乏症診療の疑義欄】

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  • #6463 返信
    倉澤 隆平

     2002年、多彩で、多数の亜鉛欠乏症患者の存在に気が付いて、その知見の周知に努力して、20年目になろうとしています。亜鉛欠乏症の生物学については勿論のこと、その臨床についてもまだまだ判らないことだらけです。しかしまた、判ってきたことも数多く、その知見を駆使して、複雑に絡み合い、原因不明ともされ、時には奇妙にも思える個々の患者の多彩な症状・病態を、単純で、安価、且つ安全な亜鉛補充療法で軽快・治癒に導くことも可能になってきました。
     しかし、亜鉛欠乏症の診断・診療の臨床の現場において、現在、ヒトの『血清亜鉛値』とは、ヒトの状態の何を表すのか?不明確のまま、ましてや『血清亜鉛値の基準値』はその定義さえも不明のまま、【数値のみが独り歩き】をしているように思えます。

     飽くまでも生物であるヒトはアナログの存在であり、そのほとんどの疾患もアナログ的なものと言えます。特に、この亜鉛欠乏症は典型的なアナログ的疾患の一つであると私は考えます。現代のIT社会に蔓延るデジタル思考のマニュアル化した診断・診療法では、網の目が荒く、誤診や誤治療の基と危惧しています。この様な医療への基本的考え方を含め、症状や数値の変化の見方や考え方は勿論、ヒトの亜鉛欠乏症の個々の診療について、具体的な症例により、真剣に疑義・検討するような欄になればと思っています。
     例えば、亜鉛とのキレート作用を持つ薬剤を常用する患者や、特に、多剤服用の亜鉛欠乏症例では、場合により低血清亜鉛値のことも、高血清亜鉛値のことさえもあるようです。
     日頃の亜鉛欠乏症の診療で気になったり、疑問に思うこと投稿いただき、共に考え検討し、より間違いの少ない亜鉛欠乏症の診療に近づき、作り上げれればと思っています。

    #8439 返信
    日頃の診療で疑問に思ったこと等気軽に投稿を!!倉澤

     現在、亜鉛欠乏症の新掲示板を新設中です。
     この欄では、亜鉛補充療法の疑義・検討(コツや考え方)の欄として、出来れば、実際の症例に則してご投稿いただいて、お互いに検討し、考えながらより良い亜鉛補充療法を広めたいとの趣旨で設置した欄です。
     私もどうしたらよいのか?不明なこと沢山に出てくることでしょう。
    亜鉛欠乏症の臨床はまだまだ判らないことだらけです。どの様なことでも結構です。投稿してPB24いただきたいと思います。お互いに学びましょう。
     例えば、〇亜鉛補充療法中止の時期は?
         〇高血清亜鉛値の亜鉛欠乏症例は?
         〇超低血清亜鉛症例の経験は?
         〇***の血清亜鉛値にするとは正しい?
         〇亜鉛補充療法の使用薬剤や投与量は?etc,etc.etc,  
     キッと沢山の疑義あることでしょう。 

     

    #13321 返信
    薬剤(化学物質)と亜鉛欠乏症① 倉澤隆平

    【亜鉛欠乏症の発症は種々の要因が合わさったものと考えるが、主要なものは食である。】
    しかし、亜鉛欠乏症の臨床では、【一部の発症・難治化に薬剤が重要な役割を担っている。】

    食、特に、主食が亜鉛不足の基礎にあることは否定しえないと思うが、亜鉛欠乏症の発症症例から見て、初期のころから外来でしばしば目に着いた薬剤は、単剤では、高脂血症、骨粗鬆症、利尿薬や精神安定剤系統、PPI、チラージン等などで、常用・連用されているものであった。例えば、検診で高脂血症を指摘され、スタチン系薬剤を処方されて直ぐに、または暫くして、亜鉛欠乏の舌痛症や皮膚掻痒症などを発症・受診した症例は多く、亜鉛補充療法で容易に治癒するが、中には、その薬剤を除くまで完治しないことも、再発することもしばしばあった。PPIが賦形薬のように同時に処方された場合がより目立った様に思う。                                        
    次第に多くの症例を経験するようになってからは、もっと広範囲で、特に、多剤服用者に発症症例も、また、難治者もより多いことが判り、薬剤が一部の亜鉛欠乏症の発症・難治化に関係するらしいことは間違いないと考える様になった。難治化症例の治療には、特に、多科・多医療機関受診症例には調整含めて、苦労していること述べて置かねばならない。
                                            
    冨田 寛著『味覚障害の全貌』に記載されている 表4 味覚障害を起こす薬剤(1,2)
    <TeaCupの旧掲示板PDFファイル ダウンロードして 2022年4月2日を 参照。>
    この表は味覚障害を起こす薬剤であるが、亜鉛欠乏症を起こす薬剤と読み替えても凡そ、良いと考える。これ程多くの薬剤があることに筆者は驚いている。しかし、筆者の実感として、最近はもっと多くの薬剤が関与していると考えている。また、このことを殆んどの医師、薬剤師、薬学者は知らないこと、是非、関係者同士の周知への努力を願う者である。

                                          ただし、亜鉛とそれぞれの薬剤のキレート作用や化学反応の強弱、作用の場でそれぞれの生体内での反応の強弱については、まだ、充分判っていないことが多く、臨床の現場での知見の集積が必要であると考える。しかし、薬剤が疑われる亜鉛欠乏症の治療、特に難治症例の治療に当たっては、これ等の多くの薬剤の存在を常に頭に置く必要があると言え、また、それぞれまだよく判ってはいませんが、作用・反応の大小は別にして当然、【亜鉛不足だけでなく、併用薬剤そのものの作用・効果への影響をも考える】こと必要であろう。
                                            
    【人】の体内での併用薬剤同士の作用・効果のそれぞれの影響は予測されては来ましたが、亜鉛と併用薬剤との多くの反応が、一部ではあるが明らかになり、亜鉛欠乏症と言う負の疾患発症も明かになりつつある現在、活性化学物質である薬剤の併用につき、特に、多剤処方と言う医療界の現実を、改めて真剣に、考える機会になって欲しいものと思う。

    #13322 返信
    舌痛症と薬剤   倉澤隆平

    【大部分の舌痛症は亜鉛欠乏症である。】また、
    【舌痛症の難治化の主因は薬剤である。】と現在(2023/05/31)は考えている。
                                                                                             
    MIMAKI Dataによれば、2002年秋、多数で多彩な亜鉛欠乏症の存在に気が付いた初期の頃から、舌痛症・口腔内違和感は亜鉛欠乏症の主要症状の1症状であり、2002年11月には亜鉛補充療法で舌痛が劇的に治癒することを経験し、その後次々と、いわゆる舌痛症を軽快・治癒せしめて来た。                            
                                                                                           
    ただその当時、難治の1症例 K.S.さん(84)がおり、味覚障害、口渇、滲みる舌痛、無味、水が苦い異味感など。血清亜鉛値:69。断続的であるが、約1年半の亜鉛補充療法をした。症状の改善は、殆んどなく、燻り続け。血清亜鉛値も1度:85となったことはあるが、後は55~77の間を燻り続けた。その後も、舌の滲みる痛み、食欲不振、口乾、口内違和感、口唇の乾き、掻痒等などを訴えて、数年間に年に1回程度は受診、1~3ケ月の補充療法を適当に受け何の効果もなく、血清亜鉛値も58~78で追跡もなかった。口乾感からシェーグレン症候群等も考え、唾液分泌検査もしたがハッキリした所見はなかった。だがだが、初診時のカルテに高脂血症、骨粗鬆症、多発性脳梗塞、うつ状態の記載があった。
    2002年の当時、味覚障害、舌痛症は亜鉛欠乏症?の疑いを持ち、食事、偏食への関心はあったが、現在と異なり、まだ薬剤が亜鉛欠乏症の発症にそれ程の関与は不知であった。
    知らなかったとは言え、誠に申し訳ないことと思うが、治療に難渋した1症例であった。
                                                                                           
    さて、掲示板;亜鉛補充療法の実践欄の2023/01/31投稿の【T.F.さん85】の症例である。約1年前から月に1~3回、2~3日続く、右頬部内側から歯肉に径5cmほどの範囲のヒリヒリした口内痛が発症。血清亜鉛値:79とやや高目である。舌痛の性状はいわゆる舌痛症で良い。亜鉛欠乏症として補充開始。補充療法後舌痛発症せず。Zn:79=>100=>135と血清亜鉛値の変動も典型的な亜鉛欠乏症パターンといわゆる舌痛症と確診された。実はT.F.さんは、MIMAKI Dataによると2008/11/04と2016/03/09に,皮膚掻痒を訴えて受診。血清亜鉛値:89と91で、血清亜鉛値が高目。亜鉛欠乏症の可能性は低いと非治療とされていた。更に、今回の問診で高脂血症と高血圧で長期にわたって薬剤を服用していることが判った。掻痒症の傾向のこと、日常の血清亜鉛値がやや高目の亜鉛欠乏症で、そして、亜鉛補充療法で、135の高目の血清亜鉛値になり。薬剤性亜鉛欠乏症で矛盾なく説明可。
    現在、プロマックD75 1錠/日の維持量で症状の発症なしですが、逆に、高脂血症、高血圧につき、これまでの投薬効果の変化の追跡が必要であるかも知れない。

    #13325 返信
    多剤服用症例の維持療法 倉澤隆平

    T.K.さん 79歳 <(旧)TeaCup掲示板及び新掲示板 2023/03/12 再掲の続き>

    【コメント】
    高脂血症、高血圧、骨粗鬆症、逆流性食道炎、脊椎狭窄症等などで某医療センター、病院、医院等など、多医療機関で投薬を受けていた患者。2015年頃にも、ピリピリする舌痛と口腔内違和感の症状で漢方薬、塗り薬、うがい薬で、2~3ケ月治療を受けた既往あり。 
    2021/03 頃から舌痛と口唇ががピリピリする感じ。舌尖、舌の両側の痛みが発症。   
    2021/09 リピトール、アムロジン、ラロキシフェン、ネキシチウム、モサプリド、アルプラゾラム、リリカ、漢方薬等など処方。
    2021/09/06 多剤服用患者。舌痛の発症と医療の経過、舌痛の性状及び局所所見等などより、多剤服用によるいわゆる舌痛症である可能性が高い。血清亜鉛値測定を含む血算・生化学検査用の採血。遠方よりの受診でもあり、初日からプロマックD75 2T分2による標準的亜鉛補充療法を開始。初診時<Zn:84> その他血算・生化学はいわゆる基準値内である。
    21/09/15 亜鉛補充療法の副作用なし。舌尖の痛み軽くなった感じ。夜間起きた時の舌の感じ楽になった。
                                            
    【多剤服用の亜鉛欠乏症の治療方針】                       
    亜鉛補充療法の効果が一応はある様なので、【多剤服用は一応継続しつつ、多科多医療機関の受診は出来るだけまとめ、整理できる薬剤は整理を検討するのが原則である。】が、現実には大変難しいことである。舌痛症や食欲不振の治療を目指した?薬剤は仕切り直してよい。PPIが亜鉛欠乏症の発症原因の大きな一つであること、案外知られていない。
    本例ではPPIは逆流性食道炎の処方らしい。勿論、短期使用は可だが、就寝時の左側臥位で殆んど不要である。ラロキシフェンは対象疾病より一時中断可。高脂血症についても一時中断を試行して、舌痛症との関係を確認することは可能な薬剤と考えるが、なかなか担当医に受け入れられないのが現実である。【継続的に必要な薬剤は試行後に再開し、亜鉛欠乏症の再発予防法を検討すればよいのだが、、、、。】
                                            
    【その後の経過】                                
    21/12/15 舌痛は舌尖のみに、2/10程度。昼間は楽で忘れる時多くなる。<Zn:107>
         やや燻るも、軽快が続く。骨粗鬆症の薬、リリカもやめた。         
    22/01/19 舌の痛みはまだ舌尖だけにあるが、12月より少し良くなった。<Zn:136> 
    22/05/25 困ったことなし。服薬:アルトバスタチン、エゼチミブ、アムロジン、ネキシチウム、アルプラゾラム、 
        多剤服用患者であるが、プロマック2T投与で舌痛は治まってる。     
         維持量としてどこまで必要か、プロマック 2T=>1Tにし追跡。 <Zn:103> 
    22/07/27 舌は大丈夫、舌尖偶に。口周りがピリピリがあり。朝起きた時に気になる。 
         味覚、食欲、皮膚共に困ったことなし。 <Zn:82>          
    22/09/21 舌尖の痛みあり。PPI暫く飲まないでいる。<Zn:85>=>1Tで維持は不足。
    22/11/16 舌尖と両側中央よりに徐々に出て来た。痛みがするな程度だが、毎日感ずる。
    やはり、プロマック1Tでは維持しきれない様である。プロマック 1T=>2Tにする。
    23/01/11 2Tになってだいぶ違う。舌の真ん中あたりの痛み残っているが、軽くなった。
      1)アトルバスタチン2)エゼツミブ3)アムロジピン4)アルプラゾラム 薬剤の検討まだ必要。<Zn:120>
    23/03/15 舌痛なし。舌尖少し感ずることあり。前より全く良い。Zn:102
    23/05/24 現在困ったことなし。夜目覚め、気になることはあり。Zn:110

    【コメント】
    医療センター、病院、診療所等、多医療機関受診の多剤服用患者の舌痛症。幸い、標準の亜鉛補充療法で舌痛症は比較的容易にコントロールされ、血清亜鉛値の変動もあるが、血清亜鉛値は比較的高目であり、プロマックD751T(Zn量 17mg)では維持できず2Tに。
    多医療機関から主医療機関に統一され、主治医と患者の関係良好。全身状態は主医療機関で、さらに、可能な薬剤の整理を含めコントロールをお願いする。
    舌痛症について、もう暫く追跡。

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