2002年に多数で多彩な亜鉛欠乏症の存在に気が付いて、そろそろ20年になろうとしています。その多彩な症状の多くは、日常医療の臨床の現場で、特に稀な症状・疾患ではなく、しばしば出合う普通の症状・疾病であるにも拘わらず、また、欠乏症であるから、その多くは、安全・安価、且つ簡単な亜鉛補充療法で容易に治癒・軽快しうるし、予防も可能である。しかし、20年にもわたるその知見の周知努力の効果は、まだまだ、あまりにも少ないとも言える。
今年の知人からの年賀状に『亜鉛のこと、あまり御存知ないお医者様が多いのに、少々びっくりしています』とあった。全く申し訳ないと思う。
母親の仙骨部縟瘡に某大学病院の在宅医療部の担当医師が、『亜鉛補充療法の処方をしてくれない。どうしたらよいか?』と他県から診療所へ、家族の電話相談。舌痛症を訴える受診患者が「舌痛症は治らない病気だから、気持ちをシッカリ持ち、気にしない様に」と担当医に言われ、インターネットで調べて、やっと遠方からたどり着いたとか。舌痛症で某大病院の口腔外科で検査の結果、抗真菌薬の処方を受けているが、一向に良くならない、と受診した舌が全くきれいな患者。一方、かと思えば。多くの受診患者に、次々と血清亜鉛濃度の検査をし、高価な治療薬?の処方を受け続けているが、本当にこれでいいのか?とメールでの相談。血清亜鉛値が基準値?以下だから、薬を飲めと言う医者。何かが?おかしいのでは?
この20年間に、多くの相談や訴えをいただいた。初期の頃は判らなかったり、まだ、気が付いていなくて、適切に返事できなかったことでも、今は、判ってきたことも多い。勿論、まだまだ、判らないことだらけであるが、また、判ってきたことも沢山ある。
本掲示板は亜鉛欠乏症の知見の周知の場であるが、また、新しい気付きの場でも、発見の場でもあり、勉強させていただいて来た。
是非、ご自分の、ご家族の、患者さんの、周囲の方々の情報・話題を投稿いただき、共に考え・勉強して、より良い亜鉛欠乏症の医療を、亜鉛生物学を追及して行きたいものと思う。倉澤 隆平